クロアチアでは、中央ヨーロッパから地中海にかかる、広い地域の食べ物を楽しむことができます!
目次
クロアチアの食文化
クロアチアは、国土が『く』の字型に大きく湾曲していて、この『く』の字のどこに行くかで気候や風土、歴史や伝統などに違いがかなり違いがあります。
食べ物や飲み物についても同じで、各地に特徴的な食べ物、飲み物があり、食べ歩きをすると結構楽しい!
すごくざっくり分けると、気温が低めの北の方はお肉多め&味付けこってりな中央ヨーロッパ(旧ハプスブルク帝国圏)らしいものが多く、海に面した南に行くとシーフードやナッツ、オリーブなどが多い地中海(ローマ帝国、イタリア系各国、オスマン帝国圏)らしいものが増えます。
クロアチアの地理や歴史についてもっと知りたい方はこちらもどうぞ
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地方ごとの名物まとめ
クロアチア全土
- ブレク(Burek):
- 極薄のフィロ生地で肉やチーズなどの具を幾重にも巻き、パリパリサクサクに焼き上げる、パイのようなパンのようなもの
- チェヴァプチチ(ćevapčići)またはチェヴァピ(ćevapi):
- 皮なしの短いソーセージ的な、細長いミートボール的なもの
- 生ハム(pršut、プルシュット):
- 地方ごとにちょっとずつスタイルや製法の違う生ハムがあります
- アイヴァル(Ajvar):
- 食べ物というかソースやコンディメントの類。赤パプリカのケチャップ的なもので、ケチャップの酸味をなくして、自然なローストパプリカの旨味と甘味を凝縮した感じ
- チーズ(Sir、スィル):
- 地方ごとにスタイルや製法、原材料の違うチーズがあります
- ヤギ、羊のチーズまで含めてけっこうなチーズ天国
- ワイン各種:
- クロアチアは古代ギリシャ時代から続くワインリージョン
- 土着種や固有種が多くとてもおもしろい
中央クロアチア
中央クロアチアの名物:食べ物
- ザグレバチュキ・オドレザク(Zagrebački odrezak):
- ザグレブ風カツレツ
- 子牛肉を薄く叩き伸ばして、チーズを挟んで衣をつけて揚げたもの。要するにシュニッツェルのクロアチアバージョン
- シュトルクリ(štrukli):
- 薄いパスタでチーズなどを幾重かに巻き、オーブンで焼くか茹でるかする食べ物
- 平たく言って生地がすごく薄いカネロニオーブン焼き。茹でたのよりオーブン焼きの方が美味しいと言う人が多いです
- サルマ(sarma):
- ロールキャベツ。ただしキャベツはまるごと発酵させたザワークラウト(クロアチア語ではキセリ・クプス)を使います
- 肉と玉ねぎだけでなくお米も入っていることがある
- プリツァ・ス・ムリンツィマ(purica s mlincima):
- ローストターキーにムリンツィ(mulinci)というパスタのようなパリパリの巨大小麦せんべいのようなものを添えた料理。
- ムリンツィがターキーの肉汁を全て吸収してたいそう美味しい
- クレムシュニタ(kremšnita):
- 本場はザグレブ近郊のサモボル → サモボルスキ・クレムシュニタとも言う
- サクサクのパイ生地でカスタード(ただしフワフワ&弾力があり、ややマシュマロよりの食感)をはさみ、パウダーシュガーをふって仕上げるスイーツ
- パイ生地の代わりに薄いチョコレートではさむザグレブバージョン、ザグレバチュキ・クレムシュニタもある
クレムシュニタ、サモボルバージョンの方が好きだけど、ザグレブバージョンはフォークでかんたんに切れて食べやすいので、あるとつい選んでしまいがち
中央クロアチアの名物:飲み物
- オジュイスコ・ビール(Ožujsko pivo):
- クロアチアで一番多く飲まれているビール
- 1892 年創業、2013 年からモルトン・クアーズ傘下。
- カルロヴァチュコ・ビール(Karlovačko pivo):
- 1854 年創業、2003 年からハイネケン傘下。
- 2014 年から地元産業の活性化への取り組みを始め、クロアチア産の麦を使ったビール作りを開始
- 各種クラフトビール(kraft pivo):
- ザグレブ周辺にはクラフトブルワリーが非常に多い
- ズマイスカ(Zmajska)、ノヴァ・ルンダ(Nova Runda)、ガーデン(Garden)、ヴァリオニツァ(Varionica)、メドヴェドグラド(Medvedgrad)などがオススメです
- プレシヴィツァ(Plešivica)産のスパークリングワイン
- 新酒の季節(10 月末から 11 月頭あたり)のポルトゥギーザッツ(Portugizac、別名ブラウアー・ポルトゥギーザー)の新ワイン(赤)
- ボジョレ・ヌーヴォーの季節にこの辺りの国々に行くなら、ガメイだけでなくポルトゥギーザッツもぜひ!
スラヴォニア
スラヴォニアの名物:食べ物
- クレン(kulen):
- スラヴォニア風のパプリカ入り熟成ドライソーセージ。EU の保護認定を受ける特産品
- クレノヴァ・セカ(kulenova seka)という、ソーセージよりハムっぽい大きさのものもあります
- フィシュ・パプリカシュ(fiš paprikaš):
- スラヴォニアの大河、ドナウ川、サヴァ川、ドラヴァ川で採れる淡水魚を使ったフィッシュシチュー
- 名前にもなっている通り、パプリカをどっさり使うのでオレンジ色
- チョバナッツ(čobanac):
- フィシュ・パプリカシュの魚を肉に置き換えた感じのシチュー。こちらもパプリカどっさり
- 肉は通常 3 種類は入れる。牛と豚を基本に、さらに羊か、稀に馬肉を入れることも!
- プニェネ・パプリケ(punjene paprike):
- パプリカ(ピーマン)の肉詰め。ただしこれも上述のサルマと同様、肉と玉ねぎだけでなくお米も入っていることがある
スラヴォニア出身の知り合いによると、「寒い日でもがっつり農作業するには肉系のこってりスープが最強」だそうです
スラヴォニアの名物:飲み物
- フランコフカ(Frankovka)の赤ワインとロゼワイン:
- ブラウフレンキッシュと同じ種類
- スラヴォニア(だけでなく周辺国でも)非常に幅広く栽培されていて、お手頃価格でできの良いものが多い
- 最近フランコフカのロゼやロゼ泡がちょこちょこ出てきている。新しい取り組みだからワイナリーも気合が入っているのか、よくできたおいしい物が多い
- メルロ(Merlot)とシラー(Syrah)の赤ワイン:
- 国際品種のうち、特にメルロとシラーはスラヴォニアの気候と土壌が合うのか、ものすごく良くできているものがかなりある
- 特にプレミアムクラスのものは、フランスの名のしれた畑のものと変わらないんじゃ…と思うくらいよくできているものもある…のに、お値段は有名産地のプレミアムものとは比べ物にならないくらいお手頃!超絶おすすめです
- トラミナッツ(Traminac)の白ワイン:
- ゲヴェルツトラミネールと同じ種類
- これもスラヴォニアの気候や土壌と合うらしく、ローマ法王やイギリス王室に献上&注文がくることで有名なワイナリーもある
- クロアチア国内でも超激レアなアイスワインもごく少量生産されている。とにかく希少価値が高いので、見つけたら買って試したほうがいいと思います
- グラシェヴィナ(Graševina)の白ワインとスパークリングワイン:
- ウェルシュリースリングと同じ種類
- クロアチアで一番広く飲まれている白ワインと言えばスラヴォニアのグラシェヴィナ
- とにかく爽やかで飲みやすい、ドライで辛口のワインが多く、本当に水のように飲める。炭酸水で割る『ゲミシュト』という飲み方にもピッタリ
- オスィェチュコ・ビール(Osječko pivo):
- 1697 年創業、クロアチア最古のブルワリー
- 代表的なビールは『Osječko 1664』。1664 年はレシピが完成した年
イストラ半島(と中央クロアチアのクヴァルネル湾付近)
イストラ半島(と中央クロアチアのクヴァルネル湾付近)の名物:食べ物
- トリュフ(tartufi):
- 白トリュフも黒トリュフもあります
- 旬は 9 月から 11 月いっぱいくらい。トリュフ祭り的なイベントも
- オリーブオイル
- クロアチアのイストラ半島は「オリーブオイル界のミシュラン」と言われる『フロス・オレイ』で「世界最高のオリーブオイル産地」に数年連続で選ばれている名産地
- ブジャ(Buža)、イスタルスカ・ビェリツァ(Istarska Bjelica)、ツルニツァ(Crnica)、モラジョラ(Moražola)、ロジュニョラ(Rožinjola)などの土着種オリーブがオススメ
- フジ(fuži)とプリュカンツィ(pljukanci):
- フジ → 小さく四角く切ったパスタ生地を斜めにくるっと巻いて、ペンネのような形にする手びねりショートパスタ
- プリュカンツィ → 真ん中がふくらみ、両端に向けて細くなる形(細いツチノコ的な?)の手びねりショートパスタ
- ボシュカリン牛(boškarin):
- イストラ固有の希少牛。角がとても長く、体毛はグレー〜白っぽくてキレイ
- イストラ風プルシュット(Istarski pršut、生ハム):
- EU の名称保護を受ける特産品
- トリュフ入りなどもあります
- クヴァルネル湾のシュカンピ(Kvarnerski škampi、テナガエビ):
- シュカンピはアドリア海の広い範囲で採れますが、クヴァルネル湾産のものは特に美味しいという呼び声が高い
イストラはトリュフの盛りっぷりがすごい
トリュフ好きの天国
トリュフ好きの天国
イストラの名物:飲み物
- テラン(Teran)の赤ワイン:
- テランはイストラ半島の土着ブドウ。若い時はフレッシュでフルーティ、熟成させるとコクと落ち着きが出てどちらもおいしい
- ロゼも最近増加中。香りは華やか、味わいはスッキリ辛口でおいしい
- マルヴァジヤ・イスタルスカ(Marvajiza Istarska)の白ワイン:
- マルヴァジヤ・イスタルスカはイストラ半島の土着ブドウ。世界のワインコンテストで高い評価を受けるワインを多く生み出している
- 最近オレンジワインに仕立てるワインメーカーも出てきている。割と向いているようで、たいそう美味しいものがけっこうあります
- ムシュカット(Muškat)系の白ワインと甘口ワイン:
- Muškat Bijeli(ムシュカット・ビェリ) → ミュスカ・ブラン・プティ・グランと同じ種類。クロアチアではイストラのモムヤン(Momjan)で作られるものが『ムシュカット・モムヤンスキ(Muškat Momjanski)』として EU の名称保護を受けている
- Muškat Žuti(ムシュカット・ジュティ) → モスカート・ジャッロと同じ種類
- どちらも甘い香りがたまらない。イストラのものは、甘口に仕立てても後味がものすごくさっぱりしていることが多く、たいへんオススメ
ダルマチア
ダルマチアの名物:食べ物
- ペカ(peka)またはイスポッド・ペケ(ispod peke):
- ペカ = 鐘という意味。特大の深めの鉄皿のような鍋に具を入れ、ドーム型の鉄蓋(これが『鐘』)をかぶせ、鉄蓋の上に鉄のリングをのせ、その上に炭を乗せて(リングは炭がドーム型の蓋から落ちないようにする滑り止め)上から蒸し上げる料理
- 肉、魚、タコなど様々な具材のペカがある(じっくり火を通すとホロホロにおいしくなる食材ならなんでもいい)
- タコのサラダ(salata od hobotnice):
- アドリア海から採れたてのタコを柔らかく茹で、ぶつ切りにして角切りのじゃがいもとあえるシンプルな料理
- サラダという割に野菜不在(トマトなどを入れる人もいる)。「タコは野菜」と思えばサラダと言えなくもない
- ムール貝のブザラ(dagnje na buzaru):
- クロアチア風の酒蒸しと思うとわかりやすい。白ワインベースで、人によってはちょっとトマトペーストを加えることもある
- ムール貝はアドリア海でたくさん採れるので新鮮でプリプリ
- マリストン(ストン)産の生牡蠣(Malostonske kamenice):
- マリストン湾ではなんとローマ帝国時代から牡蠣の生産が続いている
- 牡蠣の種類はヨーロッパヒラガキ、そもそもヨーロッパでは主流だった種類だが、1970 年代に疫病で絶滅寸前まで行ってしまい、今はほんの少ししか残っていない超希少種
- 名前の通り平べったくてクリーミーさはないスッキリした牡蠣で、マガキと違って酸味のある白ワイン、ロゼワイン、オレンジワイン、スパークリングワインなどと超絶ピッタリマッチ
- パグ島の羊乳チーズ(Paški sir):
- 世界のチーズコンテストで非常に高い評価を受けるチーズ
- 羊乳チーズだが癖はあまりなく、さっぱりしていてコクもある(羊がパグ島に多いハーブをたくさん食べているから、と言われる)
- フヴァル風グレガダ(Hvarska gregada):
- じゃがいもと白身魚のスープ煮的なもの
- 白ワイン、オリーブオイル、ガーリックあたりが味の決め手。シンプルでさっぱりしていておいしい
- ネレトヴァ風ブルデット(Neretvanski brudet):
- ブルデット → トマトベースのスープ煮的なもので、ダルマチア全体でよく食される
- ネレトヴァ風ブルデットは、ネレトヴァ川のウナギとカエルを使う個性派
- パシュティツァーダ(pašticada):
- 牛肉の赤ワイン煮込み。味の決め手はお酢、ドライフルーツ、パンチェッタ
- ニョッキと一緒に食べることが多い
ペカはこんな感じで作ります。
炭描いてませんが、このリングを鉄蓋に乗っけることで炭をドームの上に盛ることができ、上からじっくり火を入れられるのです。
2〜3 時間かかるので、お店だと予約制のところも多いです。
クロアチアでは市場で時々巨大な丸パンを売っていることがありますが、それもペカで焼いてます。
炭描いてませんが、このリングを鉄蓋に乗っけることで炭をドームの上に盛ることができ、上からじっくり火を入れられるのです。
2〜3 時間かかるので、お店だと予約制のところも多いです。
クロアチアでは市場で時々巨大な丸パンを売っていることがありますが、それもペカで焼いてます。
ダルマチアの名物:飲み物
- プラヴァッツ・マリ(plavac mali)の赤ワイン:
- ダルマチア地方の土着種。アメリカのジンファンデル、イタリアのプリミティーヴォの子どもにあたるブドウなので共通点が多い
- 特に有名な産地はペリェシャツ半島、畑ならディンガチ(Dingač)かポストゥプ(Postup)
- 華やかでエネルギー満タン、タンニンもしっかり、アルコール度数も 14 〜 15 度あるパンチのあるワインが多いが、熟成させたものは上品でまろやかにもなる
- 産地、生産者により個性が大きく変わるブドウなので飲み比べが楽しい
- ポシップ(pošip)の白ワイン:
- コルチュラ島出身の土着種
- ダルマチアの高級ワインと言えばまず名前があがるプレミアム品種
- 華やかな香り、キレの良い酸味とドライさ、しっかり厚みのあるボディが特徴
- 世界でここだけにしかない固有ブドウ、土着ブドウのワイン各種
- 赤:バビッチ(babić)、ダルネクシャ(darnekuša)、ドブリチッチ(dobričić)など
- 白:ヴガヴァ(vugava)、ボグダヌシャ(bogdanuša)、マルヴァシヤ・ドゥブロヴァチュカ(malvasia dubrovačka)、グルク(grk)、ルカタツ(Rrukatac)など
- ドゥブロヴニク・ビア・カンパニー(Dubrovnik Beer Company)のクラフトビール:
- ドゥブロヴニクのグルージュ港にブルワリーがあり、純粋に美味しいものが多いだけでなくアクセスもよいので飲みにいきやすい
情報量、これでも十分多いですが、まだ全然おいしいものを紹介しきれていない…!!
今後個別記事をたくさん書いていこうと思います
今後個別記事をたくさん書いていこうと思います